
皆さんは、落語を題材にした少年漫画がここまで熱くなるなんて想像できたでしょうか?『あかね噺』第13巻は、まさに手に汗握る展開と深い感動が詰まった一冊でした。落語家を目指す女子高生・朱音(あかね)の物語もいよいよ佳境に差し掛かり、今回は彼女の兄弟子が主役と言っても過言ではありません。読む前は「サブキャラ中心の巻ってどうなの?」と思った方も、読み終えた今では大満足の熱量を感じているのではないでしょうか。この記事では、第13巻の見どころや考察ポイントをネタバレを抑えつつご紹介します。興奮必至の真打昇進試験編、その魅力に一緒に迫っていきましょう!
著者紹介
本作の原作を手がけるのは末永裕樹さん、作画は馬上鷹将さんのコンビです。末永さんは本作が週刊少年ジャンプでの連載デビュー作ながら、落語という伝統芸能を少年漫画の舞台に見事に取り入れました。社会派の題材をエンタメとして描くのが得意で、好きな漫画に『BLUE GIANT』や『SLAM DUNK』を挙げるなど、情熱的な成長物語を志向しているようです。そのストーリー作りは、落語の奥深さを丁寧に描きつつ、ジャンプらしい熱い“勝負”の盛り上がりを両立しています。一方、馬上さんは過去にサッカー漫画『オレゴラッソ』の連載経験もある実力派。ダイナミックな画風と繊細な表情描写に定評があり、落語シーンでは登場人物の所作や感情を迫力たっぷりに描き出しています。本作では実際の落語家・林家けい木さんの監修も受けており、そのおかげで演目や所作のリアリティが増している点も魅力です。二人のクリエイターの情熱と技術が合わさった『あかね噺』は、まさに今、ジャンプでも屈指の注目作となっています。
登場人物紹介
- 桜咲朱音(阿良川朱音) – 本作の主人公。幼い頃、落語家の父・桜咲徹(高座名:阿良川志ん太)が果たせなかった夢を継ぐため、自らも落語の世界に飛び込んだ女子高生です。師匠の阿良川志ぐまの下で修行を積み、持ち前の情熱と研究熱心さでメキメキと頭角を現しています。第13巻では真打昇進試験に挑む兄弟子を陰ながら支え、その成長を見守る立場に。主人公ながら一歩引いた位置で物語を観客目線で盛り上げる役割を担っています。
- 阿良川まいける – 朱音の兄弟子であり、志ぐま一門の最年長の弟子。普段は明るくひょうひょうとした二枚目半のキャラクターですが、その実力は“二ツ目随一”と評される天才肌です。8年以上にわたり軽妙な芸風で客を楽しませてきましたが、実はかつて技巧派として知られた過去を持ちます。第13巻では真打昇進試験の挑戦者として大舞台に立ち、彼の秘めた本領が発揮されることに…。飄々とした兄さんキャラが一転して見せる本気の高座(こうざ)は必見です。
- 阿良川志ぐま – 朱音とまいけるの師匠で、人情噺の名手。「泣きの志ぐま」の異名を持ち、聴衆の涙を誘う温かい高座を得意とするベテラン噺家です。実は朱音の父・志ん太を最初の弟子に持っていましたが、彼が破門になってしまった過去を負い目に感じています。第13巻では愛弟子であるまいけるの試験を陰から見守り、「結果がどうであれ自慢の弟子だ」と励ます場面も。師匠として弟子たちを信じ、その実力を誰より認めている人物です。
- 阿良川全生 – 阿良川一門の重鎮で、「喜劇王」の異名を取る四天王の一人。派手なアフロヘアーがトレードマークの噺家です。6年前に行われた真打昇格試験では審査員を務め、志ん太を含む受験者全員を破門に追い込んだ張本人でもあります。一生(阿良川一門の党首)に心酔しつつも、志ぐま一門に対しては激しい嫌悪感を抱いており、第13巻ではまいけるの試験を妨害すべく暗躍します。辛辣で狡猾な振る舞いが目立ちますが、その胸中にはかつて師匠たちへの複雑な思いも秘めており、物語に深みを与える存在です。
あらすじ
第13巻のストーリー概要をまとめます。朱音たちが所属する志ぐま一門の兄弟子・阿良川まいけるが、落語界最高位である“真打”昇進試験に挑むところから物語はスタート。試験直前、とある居酒屋で朱音は兄弟子の亨二から、阿良川一門における真打の意味が他の落語協会とは違うことを教えられます。「芸を極めし者」だけが真打と認められる阿良川流の厳しさに、朱音はますます闘志を燃やすのでした。一方で当のまいける本人はというと、本番前だというのに飄々として全く緊張していない様子。試験前日に朱音は彼の高座の手伝いに呼ばれますが、なんと彼は落語を一席も演じずに終えてしまい、肩透かしを食らいます。それも全て翌日の真打昇進試験への布石──彼なりの秘策だったのです。
そして迎えた昇進試験当日、会場は満員御礼の大盛況。しかし客席には6年前の「阿良川志ん太」破門騒動と同じような波乱を期待する野次馬や週刊誌記者まで詰めかけ、嫌な空気が漂います。審査員として姿を見せたのは阿良川一門の頂点・阿良川一生と、四天王の阿良川全生、一剣、泰全という錚々たるメンバー(公平を期すため志ぐま師匠は審査には加わらず)。開演前、全生はまいけるにちょっかいを出すように、一生に無茶振りで挨拶をさせました。すると一生師匠の放った一言で場内は一気にヒヤリ…重たい静寂に包まれてしまいます。さらに全生は追い打ちをかけるように「あの破門事件」を匂わせ、観客たちの好奇の視線はまいけるに集中。完全にアウェーとなった空気の中、まいけるの真剣勝負の高座が始まりました。
序盤、まいけるは軽妙なおしゃべりやコミカルな小噺で場を和ませようと試みます。得意の長唄を交えた“唄い調子”の語り口まで披露して起死回生を狙いますが、どの手も不発に終わり、客席の反応は冷えたまま…。策を弄する全生は高座袖でほくそ笑み、応援に駆けつけた朱音たち弟弟子も固唾を飲んで見守る中、まいけるの表情がふっと変わります。彼はそれまでの軽さを捨て去り、一転して張り詰めた真剣な口調で語り始めました。演目は「たちきり」。上方落語の名作「たちぎれ線香」を下敷きにした人情噺(にんじょうばなし)です。まいけるが長年封印してきた本来の芸風――卓越した演技力と表現力を伴う渾身の語りが、冷めきっていた客席の心を少しずつ掴んでいきます。陽気なキャラクターとして親しまれてきたまいける兄さんが流した汗と涙、その人生をかけた想いが高座からひしひしと伝わり、観客も審査員たちも次第に「たちきり」の世界へ引き込まれていきました。会場全体が静まり返り、物語に聞き入る中、まいけるは見事な“サゲ”(オチ)で噺を締めくくります。果たして真打昇進試験の結果は――?気になる結末はぜひ実際に第13巻で確かめてみてください。なお、本巻では物語の合間に、若かりし頃の阿良川全生が先代志ぐま(志ぐま師匠の師匠)や阿良川一生に抱いていた羨望と劣等感が描かれる回想シーンも盛り込まれています。ヒール役として読者のヘイトを集めていた全生の人間味が垣間見え、物語に奥行きを与える良いスパイスになっていました。
感想
率直に言って、第13巻は「神回」と呼ぶにふさわしい内容でした!まさか主人公ではなく兄弟子がここまで物語を牽引し、読者の心を揺さぶるとは…。まいけるというキャラクターは、それまでも頼りになる兄貴分として好印象でしたが、今回の真打試験編で一気に大好きになった読者も多いのではないでしょうか。私自身、彼が舞台で失敗を重ねながらも徐々に本気モードに入っていくシーンではハラハラし通しで、気づけば拳を握りしめて応援していました。そして「たちきり」のクライマックスでは、不覚にもこちらまで涙…。漫画でここまで感情移入して泣かされるとは思いませんでした。志ぐま師匠の「どんな結果になろうとも自慢の弟子だ」という言葉にも胸が熱くなりましたし、試験のラストでは全生師匠ですら大粒の涙を流す描写があり、悪役にもグッとくるドラマがある点に唸らされました。絵的にも、まいけるが高座で放つ迫力や凄みが見開きページいっぱいに表現されていて、読んでいて鳥肌が立つほど。演者の声やしぐさが聞こえてくるような臨場感があり、作画の馬上さんの力量に改めて感服です。強いて言えば、物語の中心が朱音ではなく他のキャラクターに移ったことで「主人公の活躍が見たかった」という声もあるかもしれません。しかしそれを補って余りあるほど、本巻の内容はシリーズ全体を盛り上げる重要回でした。個人的には、朱音が舞台袖で先輩の背中を見つめる姿にもグッときました。彼女もまた何かを感じ取り、今後の成長に繋がるのだろうと期待せずにはいられません。
考察・解説
第13巻では、物語全体のテーマである「落語の継承」と「因縁の決着」という二つの軸が巧みに描かれていたように思います。まいけるが挑んだ真打昇進試験は、6年前に朱音の父・志ん太が破門となった因縁の舞台でした。彼は志ぐま一門の名誉を背負い、かつての仇敵とも言える全生に真正面から挑んだわけですが、その結末は単なるリベンジ以上の深みがありました。演目「たちきり」は、劇中でまいける自身が語るように「ある関係の終わり」を象徴する噺です。物語の中では、それが志ん太の一件で傷付いた師匠や仲間たちの無念に区切りをつけ、新たな道を切り拓くことと重なっていました。まいけるが長年隠してきた本来の実力を解放した背景には、志ん太の破門騒動で自分も傷つき苦しんだ過去があったはずです。彼が封印を解いて挑んだ「たちきり」の高座は、亡き志ん太兄さんの遺志をも受け継ぎ、落語家としてのプライドを取り戻す戦いだったとも言えるでしょう。その意味で、涙を流しながらまいけるの昇進を認めた全生師匠の姿は印象的でした。憎まれ役だった彼も、心の底では志ぐま一門の芸の強さを認めざるを得なくなった瞬間です。さらに、全生の若き日を描く回想では、彼が一生や志ぐまに感じていた劣等感や憧れが示唆されていました。単なる悪役ではない人間臭さを感じさせるエピソードで、全生というキャラがより立体的に捉えられます。
また、本作の魅力は「落語」をバトル漫画さながらのスリルで描いている点にもあります。他の演者との直接対決ではなく、「観客の心をいかに掴むか」が勝負という構図はユニークですよね。たとえば今巻でも、まいける vs. 全生の戦いは言葉や間で繰り広げられる心理戦でした。私はこの構図に、『ヒカルの碁』で碁盤を挟んだ対決や『食戟のソーマ』で料理で競い合う場面を思い出しました。ジャンプはかつて囲碁や料理といった一見地味な題材でもエキサイティングに“バトル”を描いてきましたが、『あかね噺』も落語でそれを実現しているんです。実際、SNSでも「落語なのにバトル漫画並みに燃える!」と話題になっていました。また、同じ落語を扱った作品であるアニメ『昭和元禄落語心中』などと比較すると、本作はより大衆的で明るい作風ながら、落語に対するリスペクトは共通して感じられます。笑いと涙、人間ドラマが融合した第13巻は、そうした落語メディアミックスの中でも異色のエンターテインメント性を放っていました。
読者の反応
第13巻の発売後、ファンの間でも大きな盛り上がりを見せました。以下にSNS上の代表的な声をピックアップしてみます。
ポジティブな反応
- 「まいける兄さんカッコ良すぎて涙腺崩壊…!サブキャラがここまで魅せる漫画は熱い!」
- 「笑わせて泣かせて、最高のエピソード。落語シーンで鳥肌立ったのは初めてです」
- 「全生師匠がまいけるの高座で泣くシーン、胸が熱くなった…悪役にもドラマがあるんだね」
- 「ラストの展開に感動!結末分かってても手に汗握った。ジャンプらしい神回でした」
- 「読んだ後、思わず拍手したくなる漫画ってスゴい。演者に声援送りたい気分!」
ネガティブな反応
- 「朱音ちゃんの出番が少なくてちょっと寂しいかな…主人公なのに(笑)」
- 「落語の専門用語や解説が多めで、少し難しく感じる部分もあった」
- 「結果は予想通りだったけど、そのぶん驚きは薄く感じたかも。安定感はあるけどね」
- 「全生師匠の妨害シーンがストレスフル!もう少しスカッとする展開を期待してた部分も」
- 「シリーズ全体のストーリー進行としては番外編的に感じた。朱音の真打挑戦はまだ先なのかな…?」
総じて、まいけるをフィーチャーした熱い展開に賞賛の声が相次ぎました。「脇役なのに主人公以上に燃える展開!」といったコメントも多く、落語のシーンで涙したという感想が数多く見られます。一方で、ごく一部では主人公・朱音の活躍が少ないことへの指摘や、リアル志向の読者から「真打試験の設定が実際の落語界と違う」という意見もありました。しかし、そうした声も含めて議論が盛り上がるのは人気作の証拠と言えるでしょう。第13巻はSNS上でもトレンド入りするほど話題になり、ポジティブ・ネガティブ両面の反応を巻き込みつつ、多くの読者を魅了したようです。
次回への期待
物語はいよいよこの試験の結果を受けて、新たな局面へと進んでいきます。大一番の結末を経たことで、次の巻では朱音たち志ぐま一門にどんな変化が訪れるのか楽しみですね。阿良川一門の頂点である一生師匠が今後どんな判断を下すのか、そして因縁の相手だった全生師匠との関係性にも注目です。朱音自身も、今回の兄弟子の雄姿から得た刺激を糧に、更なる高みを目指していくことでしょう。もしかすると、次は朱音が大舞台に立つ番かもしれません。彼女が真打への道でどんな挑戦をし、父・志ん太の無念をどう晴らしていくのか、一読者として期待が膨らみます。また、第13巻で示唆された志ぐま師匠と一生師匠の過去、先代志ぐまとの因縁なども今後明かされていくはずです。伏線が多く散りばめられているだけに、次巻以降でそれらがどう回収され、物語がどのようなクライマックスへ向かっていくのか目が離せません。TVアニメ化も控えているという嬉しいニュースもあり、今後ますます『あかね噺』から目が離せなくなりそうです。ファンとしては、毎週の連載と次の単行本発売が待ち遠しい限りですね。
関連グッズ紹介
『あかね噺』の世界観をさらに楽しみたい方のために、いくつか関連グッズもご紹介します。お気に入りのキャラと一緒に、あなたも落語の雰囲気に浸ってみてはいかがでしょうか?
- コミックス第13巻 (ジャンプコミックス) – 最新刊の第13巻(紙版)。迫力ある高座シーンは紙の本でじっくり堪能したい!
- 阿良川流オリジナル扇子 – 作中で朱音たちも使用する扇子。劇中描き下ろしイラストをあしらった公式アイテムで、実際にパタパタ扇げば気分は噺家?夏祭りのお供にもぴったりです
- 阿良川朱音 アクリルスタンド – 高座に座る朱音の描き下ろしイラストを再現したアクリルスタンド。デスクの上に飾れば、いつでも朱音が落語を披露してくれる気分に。
- キャラクターラバーマスコット – 朱音やからしなどキャラが可愛いデフォルメになったラバーストラップ。カバンに付けて持ち歩けば、いつでも『あかね噺』の仲間と一緒!
- 香盤表風 手ぬぐい – 劇中にも登場した手ぬぐいをイメージした和風デザインの一品。落語家の名前が並んだ香盤表(出演者一覧)風プリントがお洒落で、実用はもちろんインテリアとして壁に掛けても粋です。
まとめ
第13巻は、笑いあり涙ありの熱いエピソードで、シリーズの中でも屈指の名場面が詰まった巻でした。兄弟子・まいけるの覚醒と因縁の対決は、多くの読者の心を掴み、本作の人気をさらに押し上げたと言えるでしょう。個人的評価:★★★★☆(4.5/5)。物語が大きく動いた重要回であり、読み終えた後の満足感は特大です。「涙あり笑いありの神回」とSNSで称賛されるのも頷ける出来栄えでした。長年くすぶっていた過去のわだかまりが晴れ、新たなステージへと進む物語からは今後も目が離せません。次巻ではどんな展開が待っているのか、今から待ち遠しいですね!まだ『あかね噺』を読んでいない方も、この機会にぜひ手に取ってみてください。きっと落語の奥深さと漫画の面白さに引き込まれるはずです。
皆さんは第13巻を読んでどう感じましたか?印象に残ったシーンや推しのキャラなど、ぜひコメントで教えてくださいね!この熱い展開、語らずにはいられない~!それでは、次回のレビュー記事もお楽しみに😊
