今回は、以前読んだ本をきっかけに、引き続き武田綾乃さんの本を読んでみました。
作品の主役である女子高校生の気持ちをすべて理解できているとは思いませんが、非常に読みやすく想像力をかきたてる描写となっているので、自分の学生時代のころを思い浮かべながら楽しく読めました。
様々なことを考えてしまう年頃の複雑で微妙な心情が描かれていて、共感する部分もあるかと思いますので、興味が出た方はぜひ読んでみてください。
本を読んだきっかけ
以前、武田綾乃さんの『愛されなくても別に』を読んで、10代から20代にかけての心情の描写がとても上手だと感じました。
それをきっかけに、武田綾乃さんの作品を片っ端から読んできています。
若い女性が主な登場人物として描かれていることが多い気がしますが、この作品もほとんどの登場人物が女子高校生です。
とはいえ、中年男性の私でも今までの作品はとても読みやすかったので、この本も楽しみにして読んでみました。
内容、あらすじ
この本は、ある高校の女子高校生やその周囲の人がそれぞれ以下の5つの短編の主役として話が構成されています。
「白線と一歩」
「赤点と二万」
「側転と三夏」
「作戦と四角」
「漠然と五体」
各編はストーリーが完結してはいるものの、決して無関係ではないので、できれば最初の「白線と一歩」から順に読んでいったほうが良いと思います。
感想、レビュー
いままで読んだ他の作品と同じく、青春時代と言われる年代の複雑で微妙な心情がきれいにえがかれていると感じました。
そして、決して単純な文調ではないにも関わらず、とても読みやすく、登場人物やその周辺を想像して楽しめる作品です。
友達との関係をたもつ中での小さな嫉妬や妬みだったり、社会の仕組みへの疑問や不満、自分に対しての評価の欲求、そして色んなものからの開放の欲求、など、特にこの年代で考えがちなことを上手にストーリーとして組み上げていると思います。
私は学生時代をテーマにした小説、ドラマ、映画は好きなほうなのですが、そうでなくても十分楽しめる作品です。
次はシリーズものですが、『君と漕ぐ』を読んでみようかと思います。
書籍情報
タイトル | 青い春を数えて |
著者 | 武田 綾乃 |
発行 | 2018年8月28日 |
装画 | かとう れい |
装丁 | 岡本 歌織 ( next door design ) |
発行者 | 渡瀬 昌彦 |
発行所 | 株式会社講談社 |
本文データ制作 | 講談社デジタル製作 |
印刷所 | 豊国印刷株式会社 |
製本所 | 株式会社国宝社 |