
週刊少年ジャンプで連載中の『あかね噺』は、落語を題材にした異色の青春漫画です。第9巻ではついに物語序盤のクライマックスとも言える大舞台が描かれ、その結果には思わず息を呑みました…!落語という渋いテーマながら、ジャンプ作品らしい熱さとドラマ性で毎巻ワクワクさせてくれる本作。この記事では、第9巻の見どころや感じたテーマについて、ネタバレは極力抑えつつたっぷりレビュー・考察していきます。笑いあり涙ありの展開に胸が熱くなり、読後は「早く次が読みたい!」とウズウズ。落語を知らなくても楽しめる『あかね噺』の魅力を、一緒に味わってみましょう♪
著者紹介
本作の原作を手がけるのは末永裕樹さん、作画は馬上鷹将さんです。末永さんは本作が初の連載ながら、お笑い好きらしく落語にも強い関心を持ち、20人以上の落語家に取材したというエピソードもあります。その徹底したリサーチが物語に厚みを与え、初心者にも分かりやすいストーリー展開につながっています。馬上さんは過去にサッカー漫画を連載していた経歴があり、動きのあるスポーツとは対照的な「話芸」を描くにあたっても、緩急の効いたコマ割りや表情描写で臨場感を演出しています。二人のタッグにより、伝統芸能×青春漫画というユニークな作品がジャンプらしい熱量で描かれており、その新鮮さが話題を呼んでいます。
登場人物紹介
- 桜咲朱音(おうさき あかね) – 本作の主人公。高校生ながら前座(見習い)落語家として活動中。幼い頃に父の落語に魅了され、自身も真打昇進を目指しています。第9巻では大舞台の高座に立ち、持ち前の「人に寄り添う芸」で観客を惹きつけつつ、自らの未熟さとも向き合うことになります。
- 桜咲徹(おうさき とおる)/阿良川志ん太(あらかわ しんた) – 朱音の父。かつて志ぐまの弟子として将来を嘱望された落語家でしたが、真打昇進試験で師匠・阿良川一生に認められず破門となりました。朱音の落語への情熱は父譲りで、第9巻でも彼の影響が重要な鍵となっています。
- 阿良川志ぐま(あらかわ しぐま) – 朱音の師匠で、人間国宝クラスの落語家。阿良川一生門下“四天王”の一人でもあります。豪放磊落ながら洞察力のある性格で、朱音に「バカになれ」「心の褌を締めてこい」といった的確な助言を与えます。志ん太(徹)の元師匠でもあり、一生とは芸の方向性を巡って確執がある様子。朱音の成長を陰で支える頼もしい存在です。
- 阿良川一生(あらかわ いっしょう) – 落語界の重鎮で、志ぐまの師匠にあたる阿良川一門のトップ。厳格な完璧主義者で、かつて志ん太を試験で破門にした張本人です。朱音にとっては父の仇ともいえる存在で、第9巻の前座選考会でもその圧倒的な存在感が影を落とします。
- 阿良川ひかる – 朱音と同世代の女性落語家。阿良川一生の孫弟子にあたり、天才肌の実力者です。第9巻では朱音の最大のライバルとして公開オーディションで激突し、互いに切磋琢磨する良き関係に。クールな印象の彼女ですが落語への情熱は本物で、朱音も一目置く存在です。
- 阿良川ぐりこ – 志ぐま門下の兄弟子で朱音の兄貴分。明るく面倒見の良い性格ですが、朱音の急成長に刺激を受け「背中を見せられる兄弟子」でありたいと奮起します。第9巻では、後輩に負けまいと葛藤しつつ新たな決意を固める姿が描かれました。
- 阿良川まいける – 志ぐま門下の兄弟子。ユニークな芸名ですが生粋の日本人です。ムードメーカーで、ぐりことコンビのように場を盛り上げる存在。第9巻ではぐりこの良き相談相手となり、彼の覚悟を後押しする場面が見られます。
あらすじ
物語は、阿良川一門の重鎮・一生が主催する前座選考会の公開オーディションから幕を開けます。朱音は渾身の新作落語「替わり目」を高座で披露し、観客や審査員たちを惹きつけました。父・志ん太から受け継いだ想いを込めた芸で挑む朱音に、会場は大きな笑いと拍手に包まれます。一方、同じ舞台に立つライバルのひかるも卓越した話芸で健闘し、客席の熱気は最高潮に。お互い一歩も引かぬまま演目が終わり、いよいよ結果発表の瞬間を迎えました。
審査の結果は僅差。勝敗は決しましたが、朱音にとっては悔しさの残るものに…。しかし彼女は敗北を真正面から受け止め、それを糧にしようと前向きです。競い合ったことでひかるとも不思議な友情が芽生え、お互いを称え合うような清々しい幕切れとなりました。
オーディション後、舞台は「宇坂天満宮」で開かれる志ぐま一門の落語祭りへと移ります。朱音やぐりこ達は屋台を出して売上を競うことになり、一門の仲間たちとの賑やかな日常シーンが展開されます。この中で朱音は、師匠・志ぐまから「バカやるにも相応の心構えが要る(本気でふざけるには覚悟が必要)」と諭され、自分の弱さや未熟さと改めて向き合う機会を得ました。屋台で奮闘する中、「落語は弱さも武器になるが、弱さと未熟は違う」という境地に朱音がたどり着き、彼女の表情には晴れやかな自信が戻ってきます。
同じ頃、朱音の成長ぶりに刺激を受けたぐりこもまた、自身の芸と真摯に向き合っていました。妹弟子である朱音の活躍に焦りを覚えつつも、「追いかけたい背中」が目の前に現れたことに奮起し、まいけると共にさらなる高みを目指す決意を新たにします。
そして物語の終盤、朱音は次なる目標を「前座から二ツ目への昇進」に定めたことを宣言します。今回の経験を経て一回り成長した朱音は、悔しさをバネに「もっと上へ」と闘志を燃やしています。こうして第9巻は、新章への期待を高めつつ幕を閉じました。
感想
まず、オーディションのシーンは手に汗握る緊張感でした!落語という静かな芸能をテーマにしながら、まるでスポーツ漫画の試合を見ているかのような熱量があり、ページをめくる手が止まらないほど。朱音が高座でお客さんを掴んでいく描写は臨場感たっぷりで、読んでいて実際に笑い声が聞こえてきそうでした。そしてクライマックスの結果発表では、思わず自分も朱音になったような気持ちでドキドキ…。敗れてしまった瞬間は胸がギュッとなりましたが、同時に朱音が見せた清々しい表情に救われ、「この経験が彼女を強くするんだ」と納得できました。
印象的だったのは、朱音が父・志ん太の記憶を背負って演じる場面です。回想シーンと現在の高座シーンが重なり、まるで親子二代で一つの落語を作り上げているような演出にグッときました。父の弱さすら包み込む朱音の優しさと覚悟に、思わずホロリとさせられた読者も多いのではないでしょうか。
一方、第9巻後半のお祭りエピソードではシリアス一辺倒ではなくクスッと笑える場面もあり、メリハリのある構成だと感じました。お祭りでワイワイ盛り上がる朱音たち一門のやり取りは微笑ましく、読者としても緊張がほぐれる思いです。師匠の志ぐまが朱音に投げかける言葉はどれも含蓄があり、「もっとバカになれ」というアドバイスには思わずクスッとしつつ深く考えさせられました。落語のみならず人生にも通じる教えで、こうした名台詞がさらっと出てくるのも本作の魅力ですね。
キャラクターについては、朱音とひかるの関係性がとても爽やかで良かったです。当初は因縁のライバルかと思いきや、お互い認め合う描写にほっこりしました。勝敗はどうあれ切磋琢磨できる仲間がいるって素敵だなと感じます。また、ぐりこのエピソードも印象的でした。明るい兄貴キャラだった彼が、後輩の成長に刺激を受けて密かに焦る姿は人間味があって共感できます。「背中を見せられる兄弟子でありたい」という葛藤は、スポットライトは当たらないものの胸を打たれました。
個人的に少し驚いたのは、朱音がここで一度敗北を経験したことです。ジャンプ漫画だと主人公が勝ち進む展開も多い中、敢えて負けを描いたのは物語として挑戦的だと思いました。しかし、朱音が挫折をバネにさらに成長していくのだろうという期待感も同時に抱かせてくれます。悔し涙を糧に強くなる主人公…燃えないわけがありません!むしろ勝利よりドラマチックで、次巻以降の展開にますます引き込まれました。
強いて気になった点を挙げるとすれば、オーディション編から日常パートへの切り替わりがやや唐突に感じた部分でしょうか。緊迫した舞台の直後にお祭りシーンとなり、一瞬「おっと?」となりましたが、読み進めるうちにこれは読者と朱音たちにとって必要な“クールダウン”だと納得しました。シリアスな展開が続いた後にしっかり緩急をつけてくれるので、物語のバランスとして結果的には良かったと思います。
考察・解説
第9巻では、「弱さ」をテーマにしたメッセージが強く打ち出されていました。朱音はオーディションで敗れた後、「落語は弱さも武器になる。でも弱さと未熟は違う」と悟ります。この言葉には非常に深い意味が込められていると感じました。弱さ=人間らしさや心の機微は観客の共感を呼ぶ武器になる。一方で未熟さ=準備不足や実力不足は舞台に出てしまい、結果に響いてしまう。朱音はこの違いを痛感し、ただ闇雲に心情をぶつけるだけではダメで、確かな実力があってこそ弱さを活かせるのだと学んだのでしょう。少年漫画の王道である「努力・友情・勝利」の文脈で言えば、努力によって実力を磨き、初めて自分の弱さすら味方につけて勝利につなげられる、というメッセージにも思えます。
また、朱音が敗北した展開についても考察せずにはいられません。彼女は主人公でありながらこの段階で勝利を逃しました。しかし、これは決して物語の後退ではなく、むしろ“必要な敗北”だったように思います。というのも、この敗北によって朱音は自分の課題を具体的に知り、次なる成長の糧を得たからです。ジャンプらしい表現を借りるなら「負けて学ぶ」というやつですね。現に、ライバルのひかるとの間に奇妙な友情が芽生えたり、ぐりこが刺激を受けたりと、朱音が負けたことで周囲も含めた物語全体が大きく動き出しました。勝って得るものもあれば、負けても得るものがある──そんな当たり前だけど奥深いテーマを、第9巻は描いていたのではないでしょうか。
作中では師匠・志ぐまの存在も非常に意味深です。彼は「人それぞれ軸は違う。道を違えてでも前に進まねぇと何も掴めない」と朱音に語りかけました。これは志ぐま自身の過去や一生との確執にも通じる言葉のように感じます。志ぐまは一生の弟子でありながら、自分なりの芸の追求のためにあえて師と道を違えた人物です。朱音の父・志ん太の破門についても、志ぐまはどこか心にわだかまりを抱えている様子がこれまでの巻でほのめかされてきました。そんな彼が朱音に伝えた「自分の軸を持て」という教えは、そのまま朱音だけでなくぐりこ達後進にも向けられたメッセージでしょう。志ぐまが体現する“志(こころざし)”の芸の真髄とは何なのか?今巻では明かされませんでしたが、タイトルにも冠された「志」の意味が今後のキーポイントになりそうで、ファンとして非常に気になるところです。
他作品との比較で言えば、『昭和元禄落語心中』という落語を題材にした漫画・アニメがありますが、そちらが昭和の落語家の人生を重厚に描いた大人向けの物語なのに対し、『あかね噺』は令和の若者が落語に挑む青春譚として、よりポジティブで熱いエネルギーに満ちています。落語の演目描写も、本格派の『昭和元禄~』ではじっくり語りを聞かせるのに対し、『あかね噺』では漫画的表現で初心者にも分かりやすくダイナミックに見せており、エンタメ性が高いです。また、スポーツ漫画的なライバルとのスコア競い合い要素がある点もユニークですね。静と動、伝統と現代が融合した本作は、例えば囲碁を題材に少年漫画の熱さを描いた『ヒカルの碁』や、和の世界観を青春ストーリーに乗せた『ちはやふる』などが好きな方にも刺さるのではないでしょうか。古風な題材を今風のエンターテイメントに昇華する巧みさが『あかね噺』の魅力であり、だからこそ幅広い世代の読者に支持されているのだと感じました。
読者の反応
第9巻の発売後、SNS上でも大いに盛り上がりました。読者の声をいくつか紹介します。
ポジティブな反応(好評) 🟢
- 「第9巻、鳥肌立つほど熱かった!朱音ちゃんの落語シーン、漫画なのに臨場感ハンパない😭✨」
- 「まさかの展開!でも朱音の成長に感動…これは神回認定でしょう。何度も読み返してます!」
- 「ひかるとのライバル関係が尊い…✨ 二人とも頑張れって応援したくなる最高の巻だった。」
- 「志ぐま師匠の言葉が心に刺さった。自分も弱さを武器に頑張ろうと思えたよ👍」
- 「ラストの朱音の表情に泣いた。負けても前を向く姿に勇気もらえる。本当に良い主人公!」
ネガティブな反応(賛否両論・批判) 🔴
- 「朱音が負けちゃったの悔しすぎる…読んでて涙。正直勝たせてあげてほしかった!😢」
- 「結果発表のシーンはもう少し丁寧に描いてほしかったかな。突然終わった感じがして物足りない。」
- 「新章入りでキャラが一気に増えて少し混乱。相関関係を整理するのに前巻読み返しちゃいました。」
- 「展開としては王道だけど、オーディション→日常パートの移行に少しテンポのズレを感じたかなぁ。」
- 「SNSで期待ハードル上げすぎたかも?個人的にはもう一盛り上がり欲しかったけど…次巻に期待!」
熱狂的に称賛する声が多く見られた一方で、僅差の勝負ゆえの悔しさや物語展開への率直な意見も散見されました。しかし、「悔しい!でもそこがいい!」というようにネガティブな感想すら作品愛の裏返しであり、総じて第9巻はファンの心を大きく動かしたようです。読了後に語りたくなるポイントが多いからこそSNSでも話題沸騰となり、改めて本作の注目度の高さを感じます。
次回への期待
気になる第10巻以降ですが、まず朱音が宣言した「二ツ目昇進」への道のりから目が離せません。通常、前座から二ツ目への昇進には数年の修行が必要とされていますが、負けず嫌いの朱音はきっと黙って3年も待ったりしないはず!😆 もしかすると、自らチャンスを掴みにいくために積極的に高座に上がったり、他の一門の大物に弟子入り志願するような展開もあるかもしれません。志ぐま師匠以外の落語家との出会いや、新たな指導者から学ぶ機会が描かれる可能性もありそうですよね。
また、朱音のライバルであるひかるとの再戦も将来的には避けられないでしょう。ひかるは今回勝者となりましたが、朱音が実力をつけて再び相まみえる日が楽しみです。二人がお互いを高め合ってどう成長していくのか、ライバル関係の行方にも注目です。さらに、ぐりこやまいけるといった脇を固めるキャラクター達の活躍も期待したいところ。特にぐりこ兄さんは覚悟を決めた様子でしたから、朱音に負けじと大舞台に挑戦するエピソードが描かれるかもしれません。
物語全体の伏線としては、志ぐま師匠が語った「志の字の芸」の謎や、師匠・阿良川一生との確執の行方も気になります。いつか朱音が真打昇進試験に挑む日が来た時、再び阿良川一生と対峙することになるでしょう。その時朱音は父や師匠の無念を晴らすことができるのか…。考えるだけで今からワクワクが止まりません!第10巻以降、新章でどんな物語が展開されるのか、引き続き目が離せませんね。
関連グッズ紹介
『あかね噺』の世界をさらに楽しみたい方へ、関連グッズや書籍も要チェックです。
- コミックス『あかね噺』第1~9巻 – 今回レビューした第9巻は必読ですが、初めて本作を知った方はぜひ第1巻からまとめて読んでみてください。落語に懸ける朱音の物語が最初から熱く描かれており、一気読み必至です!電子書籍も発売中なので、スマホやタブレットでもすぐ読めます。
- ジャンプショップ限定グッズ – ジャンプ公式ショップでは『あかね噺』のクリアファイルやアクリルスタンド、キーホルダーなどファンにはたまらないグッズが展開されています。朱音や志ぐま師匠の名場面をデザインしたアイテムもあるので、日常で使えば落語家気分?!ぜひチェックしてみてください。
- 落語関連アイテム – 本作で落語に興味を持った方には、扇子と手ぬぐいのセットがおすすめ。実際に高座で落語家が使う小道具で、自宅でプチ落語に挑戦してみるのも一興です。推しキャラになりきって「寿限無」や「まんじゅうこわい」など定番噺を演じてみれば、作品の理解も深まるかもしれません♪(楽天やAmazonで手軽に購入できます)
- 落語音源・映像 – 朱音が披露した「替わり目」など実在の古典落語も、CDやDVDで鑑賞できます。プロの落語家による名人芸を堪能すれば、漫画のシーンがさらに立体的に感じられるでしょう。漫画から入って実際の落語に触れてみると、新たな発見があるかもしれませんよ。
まとめ
第9巻は、朱音にとって大きな転機となる物語が描かれた、涙あり笑いありの熱いエピソードでした。師匠や仲間たちとの絆、悔しさから立ち上がる主人公の姿に胸が熱くなり、私自身★5つをつけたい「神巻」だったと思います。物語が大きく動いた重要巻でもあり、今後の展開への期待がますます高まりました。次は朱音がどんな高座を見せてくれるのか、今から待ち遠しいですね!
最後までお読みいただきありがとうございます😊 第9巻を読んだ皆さんは、どのシーンが心に残りましたか?ぜひ感想や考察をコメントで教えてください!『あかね噺』はまだまだ盛り上がっていきそうですし、一緒に応援していきましょう✨
