魔女と人間のドタバタ同居コメディとして人気の『ウィッチウォッチ』。待望の第13巻では、笑いと恋の青春劇から一転して物語が急加速!読む前は「いつものゆるギャグかな?」なんて油断していましたが、読み終えれば驚きの連続でした。本記事では、第13巻の見どころやストーリーのポイントを振り返りつつ、伏線やキャラクター心理の深掘り考察まで盛りだくさんにお届けします。ネタバレは極力控えつつ進めますので、未読の方も安心して最後までお付き合いください。それでは、魔法と笑いと衝撃が詰まった第13巻の魅力をチェックしていきましょう!
著者紹介
本作の著者は篠原健太さん。代表作に学園コメディの名作『SKET DANCE(スケットダンス)』やSF冒険譚『彼方のアストラ』があり、幅広いジャンルでヒットを飛ばしてきた実力派漫画家です。篠原さんの作風といえば、ギャグ満載の日常描写の中に不意打ちでシリアスや感動を盛り込む巧みさ。『ウィッチウォッチ』でもその持ち味が存分に発揮されており、コメディで読者を笑わせ油断させたところに急展開を投入するストーリーテリングは健在です。また、緻密に張られた伏線や練られた設定にも定評があり、「魔法×学園ラブコメ×バトル」という盛りだくさんな世界観を違和感なくまとめ上げています。篠原健太さん自身が「自分の作品内で全部やっちゃおう!」という意気込みでジャンルミックスに挑戦しており、笑いとバトルとロマンスが同居する唯一無二の作品となっています。
登場人物紹介
主要キャラクターたちと、第13巻での見どころを簡単にご紹介します。
- 若月ニコ(わかつき ニコ) – 本作の主人公のひとりである明るく天然な魔女っ娘。幼馴染のモリヒトを自分の使い魔(守護役)に指名し、同居生活をスタート。ドジで魔法暴発もしょっちゅうですが、困っている人を放っておけない優しさの持ち主です。第13巻ではモリヒトへの恋心が高まり、ついに彼に告白しようと決意します。健気に頑張るニコの姿に読者も応援したくなること間違いなしです。
- 乙木守仁(おとぎ もりひと) – ニコの幼馴染にして、鬼の一族の末裔というもう一人の主人公。クールで真面目な性格ながら心根は優しく、ニコを守るためなら身体を張る頼もしさ。普段は感情を表に出さない彼ですが、ニコの気持ちを知ったことで心の“呪い”が解け、恋する男の子としての素顔が噴き出す場面は必見です。第13巻では、ニコへの想いと守護者としての責任感との間で葛藤するモリヒトの不器用さが微笑ましくもあり切なくもあります。
- 風祭監志(かざまつり カンシ) – カラス天狗の血を引く関西弁の陽気な少年。ニコの使い魔仲間で、ムードメーカー的存在です。お調子者ゆえ毎回痛い目に遭うギャグ要員ですが、持ち前の情の厚さで仲間を支えます。第13巻でもカンシの体を張ったギャグ(「ウェンズデー」ネタ)で笑わせてくれつつ、いざという時は仲間を信じて行動する頼れる面を見せてくれます。彼の活躍は物語の清涼剤であり、読んだ後には「カンシいい奴だなあ」となること請け合いです。
- 真神圭護(まがみ ケイゴ) – 吸血鬼の末裔であり、自称サブカル男子なクラスメイト。実は満月ではなく三日月で狼男(ウルフ)に変身してしまう特殊体質の持ち主でもあります。映画オタク気質で皮肉屋ですが根は仲間思い。第13巻では、ケイゴ考案の手作り推理ゲームで一同を盛り上げ、持ち前の博識ぶりを発揮します。また物語後半では戦闘で重要な役割を担い、1位を獲得した人気投票の結果に恥じない大活躍を見せます。コミカルもシリアスもこなすオールラウンダーぶりに注目です。
- 黒和小麦(くろわ こむぎ) – ニコたちのクラスメイトの女の子。普段は実家のパン屋を手伝う大人しい優等生ですが、実は幼い頃から「黒魔女」として育てられた土の魔法使いという裏の顔を持っています。第13巻で意外な形で物語のキーパーソンとなり、ニコにとって試練をもたらす存在です。小麦ちゃんの行動には驚かされましたが、同時に彼女の抱える葛藤や過去も描かれ、読者の心を揺さぶります。善悪のはざまで揺れる小麦の選択から今後目が離せません。
(※この他にも、ニコたちを陰ながら助ける隣町の魔女・宮尾音夢(ネム)や、物語の鍵を握る黒魔女勢力など魅力的なキャラクターが多数登場しますが、本記事では主要メンバーに絞って紹介しました。)
あらすじ
第13巻序盤、物語は穏やかな日常とともに始まります。ニコの何気ない一言からモリヒトが「ニコは自分を想ってくれている」と知る場面があり、これをきっかけにモリヒトの中で何かが弾けました。幼い頃から自身の力ゆえ人と距離を置いてきたモリヒトでしたが、ニコの気持ちを知ったことで心にかけていたブレーキ(本人曰く“呪い”)が解除され、抑えていたニコへの恋心が一気に溢れ出してしまうのです。しかし生真面目なモリヒトは「護衛対象のニコをそんな風に見てはいけない!」と大混乱。感情を必死に押し殺そうとするあまり、能面のような無表情を保つ“鉄仮面”スキルまで身につけてしまい、周囲をドン引きさせます。コミカルながらもモリヒトの不器用さが際立つこのエピソードは、前巻から進展した二人の関係に読者としてニヤニヤが止まらない展開でしょう。
一方その頃、ニコもモリヒトへの想いを募らせていました。「次こそ自分から想いを伝えたい!」とニコは告白の決意を固めます。クラスメイトたちには「恋が成就する」という噂の縁結びの樹の下で告白すると宣言し、カンシやミハル(霧生ミハル)も「全力でサポートする」と大盛り上がり。小麦も「絶対うまくいくよ」とニコを後押しし、当日はニコ・小麦・ケイゴが一緒に山道を登り、カンシとミハルは別ルートから周囲の邪気払いをする段取りになります。こうしてドキドキの告白作戦当日、ニコは緊張しながらもモリヒトが待つ場所へ向かいました。しかし――そこから事態はニコたちの予想を遥かに超える方向へ動き出します。
待ち合わせの広場にモリヒトの姿はなく、不安になるニコ。すると隣にいたはずの小麦が静かに微笑み、ニコに衝撃の事実を明かしたのです。実は小麦こそが黒魔女の内通者であり、今日の告白計画も全てニコを狙った罠だった――!突如裏切りを告げられ茫然とするニコ。直後、小麦の操る強力な土魔法が発動し、ニコは地中深く閉じ込められてしまいます。同時にモリヒトやカンシたちも、黒魔女たちの奇襲によってバラバラに分断されていたのです。平和だった日常がまさに一瞬で崩れ去り、ついに予言されていた「災いの日」の幕が上がりました。
第13巻後半は、一転してシリアスなクライマックスシーンが続きます。黒魔女勢力の刺客たちがそれぞれの前に立ちふさがり、モリヒト・カンシ・ケイゴの3人は各自が別々の敵と一騎打ちを強いられる展開に。頼みの綱のニコは封じられ不在という絶体絶命の状況で、使い魔トリオは培ってきた絆とそれぞれの力を振り絞り奮闘します。モリヒトは鬼の怪力と鍛錬の技で強敵に挑み、カンシは天狗の風を駆使して苦戦しながらも粘り、ケイゴも自身の中に潜む“ウルフ”の力に頼らず頭脳戦で小麦に立ち向かうことになります。彼らの背中には、捕らわれたニコを救い出すという強い使命感がありました。
やがて戦いの中で、ニコが閉じ込められたまま重傷を負っていることが明らかになります。黒魔女たちの容赦ない攻撃により、モリヒトは命の危機に晒されてしまいました。幼馴染みを傷つけられ必死にもがくニコは、自分に残された最後の切り札――古の大魔法を発動します。それは命と引き換えにも等しい禁断の魔法でした。圧倒的な光が迸り、黒魔女たちは一時撤退を余儀なくされます。モリヒトたちは何とか危機を脱したものの、代償としてニコの身体には異変が起こってしまうのです。彼女は強大な魔力と引き換えに自らの時間を捧げ、記憶と成長を失って幼い子供の姿に戻ってしまいました……!突如5歳児ほどになってしまったニコに、モリヒト達は言葉を失います。
戦いが終わり静寂が訪れる中、小麦はニコのもとに駆け寄り涙ながらに謝罪します。幼少期から黒魔女に育てられた彼女は、自分のした裏切りの罪に押し潰されそうになっていました。そんな小麦に対し、小さな体になってしまったニコは精一杯の笑顔で「許す」と伝えようとしますが、その優しい声は小麦の心に届きません。小麦は自責の念から逃れるように、すべてを断ち切る決意を固めます。そして「自分をやり直したい」とモリヒトたちに告げると、魔女の聖地「悠仙郷」へ旅立つ道を選ぶのでした。“白魔女”として一から魔法を学び直すことで罪を償おうとする小麦を、モリヒトたちは見送るしかありません。
物語のラスト、ニコを元の姿に戻す方法が示されます。彼女の体から散り散りになって飛び去った「光の蝶」(失われた魔力のかけら)をすべて集めれば、ニコの時間を取り戻せるかもしれない――。愛するニコのため、モリヒトたち使い魔一同は新たな使命を胸に動き出します。第13巻は、こうして大きな試練と新章への序章とも言える幕引きとなりました。笑顔溢れる日々が一変し、誰も予想しなかった展開で終わる本巻。読後には胸がいっぱいになり、「早く続きが読みたい!」と感じることでしょう。
感想
まず率直な感想を言ってしまうと、「感情がジェットコースターのように振り回される一冊だった!」というのが第13巻を読み終えた後の印象です。前半はモリヒトの恋心大暴走エピソードから始まり、思わず吹き出すギャグのキレに笑いっぱなしでした。モリヒトが感情を隠そうと必死になるあまり無表情でカチコチになるシーンはシュールすぎて、ページをめくる手が止まるほど笑ってしまいました。ケイゴ手製の推理ゲーム回では、フリー素材だらけの雑な演出やお約束ネタのオンパレードにクスッとさせられつつ、ちゃんと謎解きもあって「意外と凝ってる!」と感心。カンシの「○曜日ギャグ」(某海外ドラマをもじった「笑ってウェンズデー」)では、毎度のごとくひどい目に遭うカンシに「またかよ!」と突っ込みつつ、大袈裟なリアクション芸に爆笑しました。ここまでいつもの日常パートが安定の面白さだったので、「今回も平和でほのぼの終わるかな~」なんて油断していたんです。
しかし後半に突入すると、一気に空気が変わります。ニコの告白計画が動き出した途端、まさかの裏切りと襲撃劇! 正直「え、ウソでしょ!?」と信じられない気持ちで読み進めました。小麦ちゃんの豹変には心臓がドキッとなり、可愛いサブキャラだと思っていた子が黒幕だった衝撃にしばらく口が塞がりませんでした。でもよく考えると、小麦が初登場した回ってパンに話しかける変な子だったな…とか、思い返して「あの伏線だったのか!?」と震えましたね。篠原先生、読者の盲点を突くのがお上手です。物語が一気にシリアスモードに入ってからは、息つく暇もないほどのスリル展開で、ページをめくる手が止まらなくなりました。
特に胸を打たれたのは、ニコとモリヒトがお互いを想う気持ちです。ニコは勇気を振り絞って告白しようとしたのに、その機会を奪われてしまって本当に可哀想で…。閉じ込められたニコが涙ぐみながらモリヒトの名を呼ぶシーンでは、こちらまで切なくなりました。一方モリヒトも、護ると誓ったニコを目の前で傷つけられ、自分の無力さに歯噛みする姿が痛々しかったです。クールな彼が感情を露わにし、「ニコを助けたい」という一心で戦う姿にはグッときます。普段寡黙なモリヒトが初めて感情を爆発させる場面でもあり、彼のニコへの想いの強さに胸が熱くなりました。
バトルシーンについても触れたいです。モリヒトvs強敵、カンシvs異形の敵、ケイゴvs小麦という構図は少年漫画らしい盛り上がりで、それぞれのキャラの個性が活きた戦闘になっていました。中でもケイゴがウルフに頼らず知略で挑む展開は痺れましたね!普段ヘタレっぽい所もあるケイゴですが、やる時はやる男です。とはいえ変身できず苦戦していたので、「早くウルフになって逆転してくれ~!」とハラハラしました。また、小麦に対して本気で怒りを見せるケイゴの表情からは、仲間を傷つけられた怒りと悲しみが滲んでいて印象的でした。コミカル担当だった彼のこんな一面が見られるとは…。キャラクターの新たな魅力が引き出される巻でもあったと思います。
そして何といってもニコの自己犠牲のシーンです。モリヒトを救うためとはいえ、まさか自分の記憶と成長を犠牲にするなんて…。幼女姿になったニコがモリヒトを見上げるラストは、悲しくて美しくて、涙がこぼれそうになりました。普段ドジで可愛いニコが、こんな形で皆を救うなんて反則です…。彼女の献身と、それに気付けなかったモリヒトの悔しさを思うと胸が締め付けられます。このシーン、ジャンプ漫画屈指の感動シーンではないでしょうか。ニコが小麦を許そうと小さな手を伸ばす場面も優しさに溢れていて、「ニコは本当に心の綺麗な娘だなぁ」としみじみ感じました。
良かった点ばかり語ってしまいましたが、あえて気になった点を挙げるなら、物語が怒涛の展開すぎて情報量が多いことでしょうか。ギャグ→ラブコメ→シリアスバトル→感動…と盛りだくさんなので、一度読んだだけでは消化しきれず、私は思わず二周目に突入しました(笑)。しかしこれは贅沢な悩みですね。強いて言えば、引きが強すぎるので「次巻が気になって夜も眠れない!」という嬉しい苦しみを味わっています。また、小麦の裏切りが急展開すぎて戸惑ったという声もあるかもしれませんが、個人的には驚きと同時に「そう来たか!」と興奮しました。伏線ゼロではなく一応ヒントはあったし(パン好き設定とか…)、何より意外な人物が鍵を握るという展開は物語に深みを与えたと思います。
総じて、第13巻は笑いあり涙あり驚きありの神回ならぬ“神巻”でした!篠原先生の storytelling に完全にしてやられた形ですが、翻弄されるのもまた楽しいですね。この巻を経て物語が大きく動いたので、シリーズ全体への愛着がさらに深まりました。読後にはTwitterなどでファン同士語り合いたくなること必至です。「ウィッチウォッチ第13巻、ヤバい!」と語彙力が消失するほど心を揺さぶられた名エピソードでした。
考察・解説
第13巻で描かれた展開について、いくつか深掘りしてみましょう。まず注目すべきは、日常コメディからシリアスへの転調の巧さです。実は物語中盤まで文化祭や遠足など季節が「11月」だという描写が繰り返されており、読者は「予言された災い(ニコに降りかかる危機)は1年以内=来年の春頃だろう」と無意識に思い込んでいた節があります。篠原先生はその油断を逆手に取り、「まだ平和が続く」と思わせたタイミングで災厄を突然に訪れさせたわけです。これは読者体験としても衝撃度が増す仕掛けで、まさにニコやモリヒトが味わった“日常が壊れる瞬間”を我々も追体験することになりました。物語内の魔女の警報魔法「アラート」が鳴り響いた瞬間に、一気に世界が裏返るような感覚は見事でした。この演出により、平和な日常パートの大切さと、失われた時の喪失感が強調され、物語に厚みを与えていると感じます。
また、キャラクター心理の描写とテーマ性についても考えてみます。モリヒトは幼少期のトラウマから「自分は人と深く関わってはいけない」と心に蓋をしていました。それがニコの存在で徐々に解け、第13巻で完全に殻が破れます。しかし彼は「護るべき相手に恋愛感情を持つなんて…」と苦悩し、鉄仮面までして感情を抑え込もうとしました。この滑稽な行動はギャグとして笑えますが、裏を返せば“愛する人を想うあまり自制しようとする”モリヒトの不器用な優しさの現れでもあります。皮肉にも、その直後にニコを危険に晒してしまったことで、モリヒトは自分の心に正直になることの大切さを痛感したでしょう。「守りたいなら、心から守れ」というメッセージが込められているようにも思えます。
ニコに関して言えば、「千年に一人の白魔女」という設定が彼女の運命を大きく左右しています。強大な力を持つがゆえに狙われ、そして強大な力ゆえに仲間を救えたものの、自身は幼児化してしまった。この展開はファンタジー的にはよくある「力の代償」ですが、ニコの場合は“人助けが大好きなドジっ子”というキャラ性と結びついているのが興味深いです。普段から困った人を放っておけないニコが、究極の場面で自分を犠牲にしてまで誰かを助けるのはある意味必然とも言えます。善良で純粋な彼女だからこそ成し遂げられた奇跡であり、彼女の内面的成長すら感じられました。もっとも、代償があまりにも大きすぎるので、読者としては「作者ぇ…(涙)」となってしまいましたが。この“善良ゆえの犠牲”というテーマは、今後ニコが元に戻る際にどのように回収されるのか非常に気になります。例えば、彼女自身が「もっと強くなりたい」と望むきっかけになるのかもしれません。
さらに、黒和小麦というキャラクターの存在も深く掘り下げたいポイントです。彼女は「白魔女vs黒魔女」という善悪の構図を体現するキャラですが、完全な悪人ではなく葛藤を抱えています。幼い頃から黒魔女(おそらく彼女を育てた存在)に洗脳同然に育てられた小麦にとって、ニコは倒すべき相手でした。しかし学校で接するうちにニコの人柄に触れて情が芽生えたからこそ、最後には罪の意識に苛まれます。「悪に育てられた善良な心」という矛盾を抱えたキャラであり、彼女のドラマは単純な勧善懲悪に留まらない深みがあります。小麦が悠仙郷で白魔女として出直そうと決意したのは、裏を返せば「自分にも善側としてやり直すチャンスがある」という救済でもあります。これは篠原作品らしい優しさだと感じました。かつて『SKET DANCE』でも悪役にバックボーンや救いを与えていた作者だけに、小麦もきっと真の仲間として帰ってきてくれるのでは、と今から期待しています。
ストーリー構成の観点では、ラブコメの進展とバトルのクライマックスを同時に描いた点が見どころでした。少年漫画では恋愛要素とバトル要素は並行して進み、最終局面で交錯するのがお約束です。今回まさに、ニコの恋(告白)と黒魔女との戦いが一日の中で同時進行し、クライマックスが重なった形になりました。ニコが恋心を伝えようとするシーンと、モリヒトが命がけで戦うシーンが交互に描かれることで、愛と戦いがリンクして盛り上がりを倍増させています。ニコの「好き」という気持ちがモリヒトの力の源にもなり、モリヒトの必死の戦いがニコへの想いの強さを際立たせる。こうした相乗効果で物語に厚みが増し、読者の感情移入も深まりました。「ラブコメとバトルは両輪」とよく言われますが、本作は正にそれを地で行く展開だったと思います。そして、恋の行方も戦いの結末もどちらも次巻以降に持ち越しという形が憎いですね!読者としては気になって仕方がないですが、このじらしもまた物語への熱量を高める良いテクニックだと感じました。
他作品との比較にも触れてみましょう。『ウィッチウォッチ』のこの巻の流れを見て、私は『銀魂』を少し思い出しました。ギャグで大笑いさせておいて、シリアス長編に突入すると一気に燃えるというあの感じです。本作もコメディとシリアスの落差が激しく、そのギャップがクセになる魅力を放っています。また、魔女の設定や成長物語という点では『ハリー・ポッター』シリーズにも通じる部分があります。闇の魔法使いとの戦い、仲間との絆、自己犠牲による守護など、王道のファンタジー要素をジャンプ流にアレンジしている印象です。ただし『ウィッチウォッチ』がユニークなのは、そうしたファンタジーの王道にお笑いと現代高校生活の空気を融合させている点ですね。魔女でありながらYouTuberやTikTokに興じるニコたちの等身大な青春と、伝説的な魔法バトルが同じ舞台上で展開する様は他にない面白さです。このミクスチャーこそ本作最大の魅力であり、第13巻はその振り幅を存分に見せつけた形でした。
最後に、人気投票の結果についても少し解説しておきます。劇中第13巻では第1回キャラクター人気投票の結果発表がありました。まさかの1位ケイゴ、2位カンシ、3位音夢(ネム)というランキングで、主人公モリヒトとヒロインのニコはトップ3圏外という驚きの結果でした。この事実、面白いですよね。普通メイン二人が上位に来そうなものですが、本作では脇を固めるキャラの魅力がそれだけ高いということです。ケイゴが1位なのは、彼のツッコミ役・ボケ役どちらもこなす万能キャラぶりや過去エピソードの深さが支持されたのでしょうし、2位カンシもムードメーカーで「いいヤツ」ぶりが愛されています。3位の音夢ちゃんは隣町の魔女で出番こそ多くないものの、ケイゴとのちょっとニヤニヤする関係性がファンの想像を掻き立てているのかもしれません。こうした結果から考えるに、読者は単なる主人公補正ではなく、本当に魅力的なキャラを素直に推しているように思います。この傾向は物語にも影響を与える可能性があります。ジャンプ漫画では人気投票結果が今後の展開にフィードバックされることもありますから、もしかするとケイゴやカンシの活躍がさらに増えるかも? と密かに期待しています。
読者の反応
第13巻の発売後、ファンの間でも大いに盛り上がりを見せました。SNS上の声をいくつか拾ってみると、ポジティブな反応とネガティブな反応の双方が見られます。
ポジティブな反応(好評) 🟢
- 「ニコとモリヒト、ついに両想い!? 前半のニヤニヤ展開に終始ニコニコしっぱなしだった!」
- 「小麦ちゃんの衝撃展開ヤバすぎ!鳥肌立った…篠原先生天才かよ!」
- 「笑いから一気にシリアスへ。感情振り回されて最高に楽しかった!こんな漫画他にない!」
- 「ニコの自己犠牲に泣いた…。笑ってたのに最後はボロ泣き。心掴まれた第13巻、神巻認定です!」
- 「キャラ人気投票結果ワロタw ケイゴ1位おめでとう! みんな分かってるね~!」
ネガティブな反応(賛否両論・批判) 🔴
- 「急にシリアスになりすぎて情報過多…頭が追いつかない!もう一回読み直さなきゃ」
- 「クリフハンガーがつらい。続き気になりすぎて生殺し状態、早く第14巻を…!」
- 「小麦裏切りは確かに驚いたけど、唐突すぎてポカンとしちゃった。もう少し伏線が欲しかったかな」
- 「ニコが可哀想すぎて見てられん…。早く元に戻してあげてって思った」
- 「前半のラブコメもっと見たかった!すぐバトルに入っちゃって残念。もう少しイチャイチャさせて~」
ご覧のように、肯定的な声としては「笑いと感動の落差が最高」「キャラの新たな一面が見れて良い」といった意見が多く、読者の興奮と称賛が伝わってきます。「笑って泣けた」「神巻」と絶賛するファンも多く、特にニコとモリヒトの関係進展や小麦の意外性には大きな反響がありました。一方で否定的というより戸惑い系の声も少々見受けられます。急展開ゆえについていけず「情報量が多い」と感じた人、続きが気になりすぎて辛いという悲鳴(?)、小麦の裏切りが唐突との指摘などですね。ただ、こうした意見も「ショックが大きいからこそ」の反応であり、作品への関心の裏返しとも言えそうです。「もっとラブコメ見たかった~!」という声も、要はそれだけニコとモリヒトのカップリングが愛されている証でしょう。総合的には圧倒的にポジティブな熱狂が勝っており、第13巻はファンの間で“神展開”として語り草になっているようです。Twitterでは「#ウィッチウォッチ」「#WW13巻」などのハッシュタグで感想ツイートが飛び交い、特にニコが○○するシーン(←未読の方のため伏せます)がトレンド入りするほどでした。賛否含め様々な声がありますが、それだけ多くの読者の心を動かしたことの裏付けでもあり、シリーズの盛り上がりを感じます。
(※皆さんの第13巻の感想もぜひコメント欄でお聞かせください!あなたはどのシーンに一番心を揺さぶられましたか?)
次回への期待
怒涛の展開で幕を閉じた第13巻だけに、次の第14巻以降への期待も高まります。まず何と言っても、ニコが元の姿に戻れるのかが最大の注目ポイントでしょう。散り散りになった「光の蝶」を集めるという新たなミッションが提示されましたが、一体どんな旅路になるのか想像が膨らみます。下僕…もとい使い魔トリオのモリヒト・カンシ・ケイゴが協力して世界中を奔走するような冒険劇になるのか、それとも意外と身近な場所に手がかりがあるのか? ニコを救うために仲間たちが知恵と力を振り絞る展開は間違いなく熱いはずです。特にモリヒトは「今度こそニコを守る」とさらに決意を新たにしているでしょうし、彼の成長した姿が見られそうです。また、小麦ちゃんが向かった悠仙郷での修行も描かれるかもしれません。黒魔女から白魔女への更生という異色のエピソードになりそうで、小麦がどんな修行を積み、どんな心境の変化を遂げるのか興味津々です。もしかすると新たな仲間や師匠キャラの登場なんてことも…?
さらに、まだ倒しきれていない黒幕的な黒魔女の存在も気になります。第13巻では黒魔女勢力の全貌が見えないまま終わりました。ニコを狙う黒魔女たちの首謀者(過去にチラッと名前が出た“叶時世”という謎の人物でしょうか?)が、今後本格的に牙をむいてくるはずです。夢を操る魔女や付与魔法の使い手など、不穏な能力の敵も控えていそうなので、次巻では彼らとの最終決戦が展開する可能性があります。モリヒトたちがニコの魔力を取り戻そうとする動きと、黒魔女側がそれを阻止しようとする動きが交錯して、新章もハラハラドキドキの展開になりそうですね。
ラブコメ的な視点では、ニコとモリヒトの恋の行方も引き続き注目です。今回は告白が未遂に終わってしまっただけに、ファンとしては「どうか二人を幸せにしてあげて…!」という気持ちでいっぱいです。ニコが元の年齢に戻れた際には、ぜひ改めてロマンチックな告白シーンを用意してほしいところ。モリヒトも心の呪いが解けて本音を見せ始めたので、次こそは素直に気持ちを伝え合ってほしいですね! とはいえ簡単にはいかないのがラブコメなのでしょうが…。また、人気投票3位にもなった音夢(ネム)とケイゴの関係も気になります。ケイゴがネムに月を見せるミッションとか謎の交流をしていましたが、今回ケイゴが大怪我したと知ったらネムも放っておかないはず? 次巻ではネムが助太刀に現れて、ケイゴとの距離が縮まるイベントなんかもあるかもしれません。ファンとしては二人の今後にもニヤニヤが止まらない予感です。
そして忘れてはいけないのが、物語の新たな局面です。第13巻までで一旦「ニコの災いの日」という大きな山場を迎えたことで、今後の『ウィッチウォッチ』は新章突入と言えます。ニコ幼児化という大きな変化が起きたことで、物語の雰囲気も少し変わるかもしれません。日常パートでは5歳児ニコが繰り広げる新たなギャグが見られるかも? 想像するだけで可愛くてニヤけます。そしてシリアスパートでは、黒魔女側の真の目的や、ニコが背負う“千の魔女”としての宿命がより深く掘り下げられていくでしょう。篠原先生のことですから、まだまだ私たちの予想を裏切る驚きの展開を用意しているに違いありません。「次はどんな魔法(ストーリー)を見せてくれるんだろう?」と期待で胸を膨らませながら、発売日を指折り数えて待ちたいと思います。
関連グッズ紹介
物語を堪能したら、『ウィッチウォッチ』の世界観をさらに楽しめる関連グッズにも注目してみましょう。公式から発売・展開されているアイテムをいくつかピックアップしてご紹介します。
- コミックス第1~13巻(既刊) … まずは何と言っても原作コミックス!今回レビューした第13巻までのエピソードをじっくり復習できます。電子書籍でも紙でも入手可能なので、未読の巻がある方はぜひ。この機会に全巻一気読みセットで物語を追体験するのもオススメです。
- キャラクターグッズ(キーホルダー・ステッカー 他) … ジャンプ公式グッズやアニメイトコラボで、可愛いデフォルメキャラのアクリルキーホルダーやステッカー、クリアファイルなどが販売されています。ニコやモリヒトはもちろん、カンシやケイゴ、小麦に至るまでラインナップされています。お気に入りキャラのグッズを身につければ、いつでも『ウィッチウォッチ』愛をアピールできますね。中にはニコの魔法アイテムをモチーフにしたおしゃれ雑貨なんかもありますので要チェック!
- フィギュア(るかっぷ・プライズ等) … 2025年に控えたアニメ化に合わせて、フィギュア展開も盛り上がっています。ニコがちょこんと見上げるポーズでお馴染みの「るかっぷ」シリーズフィギュアになって登場予定!机に飾ればニコがこちらを見つめてくれる癒やし効果抜群の一品です。また、音夢(ネム)のスタイリッシュなスケールフィギュア(Luminastaシリーズ)も発表されており、彼女の可憐さを立体で楽しめます。プライズ景品などにも今後ケイゴやカンシのフィギュア化が期待されますね。
- アパレル・雑貨 … ジャンプキャラクターズストアから発売された公式Tシャツ「BLACK DARKNESS IN THE ABYSS OF THE UNIVERSE」はご存知でしょうか?作中で登場した中二病炸裂な架空映画タイトルをあしらったデザインTシャツで、作品ファンにはたまらないネタアイテムです。他にも、「乙木家の表札風キーホルダー」やニコの魔法書デザインのノート、カンシのカラスを模したぬいぐるみなど、ユニークなグッズが多数展開されています。日常使いできるものばかりなので、さりげなくファンアイテムを身につけて楽しみましょう。
- 書籍・音楽関連 … 現在原作ノベライズや公式ガイドブックの情報はありませんが、篠原健太さん関連作品としては『SKET DANCE』や『彼方のアストラ』のコミックス・アニメ円盤なども要注目です。『ウィッチウォッチ』にハマった方なら、同じ作者の過去作もきっと楽しめるはず。ぜひこちらも併せて手に取ってみてください。なお、アニメ化に伴いオープニング主題歌やサウンドトラックCDのリリースも予想されます。アニメ版『ウィッチウォッチ』は2025年放送開始ということで、今後は音楽面でも作品世界を楽しめるでしょう。お気に入りのキャラソングやBGMが見つかるかもしれませんよ。
グッズは公式通販サイトやアニメショップ、イベント限定など入手方法はいろいろありますが、公式サイトやジャンプショップ情報をチェックすれば最新情報が手に入ります。お気に入りのアイテムをゲットして、『ウィッチウォッチ』の世界に浸りながら次巻を待つのも一興です!
(※上記の商品リンクは公式ショップ等に繋がっています。売り切れの場合もありますのでご了承ください。グッズ情報は2025年8月現在のものです。)
まとめ
『ウィッチウォッチ』第13巻は、シリーズ随一と言っても過言ではない大波乱の展開が詰まった重要巻でした。序盤のドタバタラブコメで笑わせつつ、後半で物語の核心に切り込む怒涛のストーリー展開はお見事の一言です。可愛らしい日常にほっこり油断していたら、一瞬で心を鷲掴みにされ涙まで流してしまう…そんな笑いあり涙ありのジェットコースター体験を味わえるのが第13巻の凄さでしょう。まさに「神回」ならぬ「神巻」と言える出来栄えで、個人的満足度は★5つでは足りないくらい!強いて言えばクリフハンガーにやきもきさせられましたが、それも含めて物語への没入感を高めてくれました。
物語はこの巻を境に大きく動き、ニコやモリヒトたちの関係性も新たなステージに突入しました。次巻以降も目が離せない展開が続くことは確実で、ファンとしては嬉しい悲鳴を上げるばかりです。ニコの運命や仲間たちの奮闘、そして恋の行方――気になることだらけですが、引き続きこの作品を応援しながら見届けたいと思います。まだ『ウィッチウォッチ』を読んだことがない方も、第13巻のレビューで興味を持たれましたらぜひ1巻から手に取ってみてください。笑って泣けてアツくなれる、素敵な物語があなたを待っています。
最後までお読みいただきありがとうございました!第13巻についての皆さんの感想や好きなシーンも、ぜひコメントやSNSで教えてくださいね。あなたはこの展開、どう感じましたか? 私も語り足りないくらい大興奮でしたが、一緒に語り合える仲間が増えたら嬉しいです。それでは、次回のレビューでまたお会いしましょう!魔法と笑いに満ちた『ウィッチウォッチ』の世界を、これからも一緒に楽しんでいきましょう✨