2013年に社会現象となったドラマ『半沢直樹』。主人公・半沢直樹の決め台詞「やられたらやり返す、倍返しだ!!」は流行語大賞にも選ばれ、一大ブームを巻き起こしました。毎週視聴率がうなぎ上りとなり、第5話ではなんと29.0%という驚異的な数字を記録しています。そんな第5話は、まさに“逆転の一手”で悪党に倍返しを果たし、仲間との絆に胸が熱くなる神回と言える内容でした。本記事では、第5話の魅力をキャスト紹介からストーリー考察、視聴者の反応までたっぷりレビューします。半沢の痛快な逆襲劇を振り返りつつ、その深みにも迫っていきましょう!
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キャスト・キャラクター紹介
- 半沢直樹(演:堺雅人) – 本作の主人公。曲がったことが大嫌いな熱血バンカーで、「倍返し」の信念を貫く男です。堺雅人さんは本作で第78回ドラマアカデミー賞 主演男優賞を受賞し、劇中のセリフ「倍返しだ!!」は2013年の新語・流行語大賞にも選出されるほどの社会的インパクトを与えました。緻密な台本を20回以上も書き直して作り上げたという脚本と相まって、骨太な演技で半沢の魅力を体現しています。
- 半沢花(演:上戸彩) – 半沢の妻。明るく天真爛漫な性格で、銀行内の派閥争いに疲れる直樹を家庭面から支える癒やし的存在です。上戸彩さんは数々のドラマで活躍する人気女優で、本作ではコミカルなやり取りからシリアスな場面まで安定感ある演技で作品に華を添えています。第5話では夫婦のドライブシーンで半沢の過去を引き出し、物語に深みを与える重要な役回りを担いました。
- 渡真利忍(演:及川光博) – 半沢の同期で、東京本部勤務の情報通。及川光博さん(ミッチー)は歌手としても知られ、ドラマ『相棒』などでも人気の俳優です。本作ではスマートな色男キャラで存在感を発揮し、半沢に極秘情報を提供する頼もしい親友役を好演しています。冷静沈着な渡真利の助言が、第5話でも半沢の逆転劇に大きく貢献しました。
- 浅野匡(演:石丸幹二) – 大阪西支店の支店長で半沢の上司。表向きは温厚な管理職ながら、実は出世欲の塊で部下を利用する狡猾な人物です。演じる石丸幹二さんは元劇団四季のミュージカル俳優で、その卓越した演技力で浅野支店長の狡猾さと追い詰められていく焦燥感をリアルに表現しました。第5話では半沢に「土下座」を約束させられ、絶体絶命の窮地に陥る役どころです。
- 東田満(演:宇梶剛士) – 倒産した西大阪スチールの社長。銀行から融資させた5億円を着服し高飛びする本作前半の企業側“ラスボス”です。宇梶剛士さんは大柄な体躯と迫力ある演技で悪徳社長を怪演。第5話では半沢に隠し財産12億円を差し押さえられ、愛人にも逃げられ孤立するという因果応報な末路を迎えます。
- 藤沢未樹(演:壇蜜) – 東田の愛人ホステス。壇蜜さんはグラビア出身の女優で、本作で連ドラ初出演ながら妖艶な存在感を放ちました。未樹は当初東田の共犯者かと思いきや、第5話でまさかの機転と演技力で東田を裏切り、半沢に隠し通帳を届ける重要なキーパーソンとなります。壇蜜さんの艶っぽさと芯の強さを感じさせる演技に注目です。
- 黒崎駿一(演:片岡愛之助) – 大阪国税局査察部統括官。オネエ口調でねちっこい性格の「金融庁の黒ヒョウ」です。片岡愛之助さんは実際に歌舞伎役者でもあり、眉目麗しい見た目と言動で強烈なキャラクターを演じました。第5話では東田の隠し資産を巡り半沢と火花を散らしますが、最後は半沢に先を越されて悔しがるコミカルな一面も披露しています。憎たらしいけど憎めない黒崎の怪演も見逃せません。
- 大和田暁(演:香川照之) – 東京本部の常務取締役。第5話のラストで初登場し、今後半沢の前に立ちはだかる宿敵です。香川照之さんは本作で第78回ドラマアカデミー賞 助演男優賞を受賞しており、“土下座常務”こと大和田の狂気的なまでの怪演は大きな話題を呼びました。歌舞伎の名門出身である香川さんならではの圧倒的な存在感が、物語後半に向けてさらにヒートアップしていきます。
そのほか、第5話では半沢に協力する竹下金属社長・竹下清彦(赤井英和)も登場。元プロボクサーの赤井英和さんが演じる竹下は、連鎖倒産の危機から半沢に救われた恩義で奮闘し、半沢の“仲間”として痛快なリベンジに一役買います。個性的かつ実力派ぞろいのキャストが揃ったからこそ、第5話は神回と称えられる熱量と説得力が生まれたと言えるでしょう。
制作陣情報(監督・脚本家・制作背景)
第5話の脚本を手掛けたのは八津弘幸さん。原作者・池井戸潤さんの小説をベースに、毎回の山場を意識してエンターテインメント性あふれる脚本に練り上げています。実際、第1話の脚本準備稿は20回以上も手直しされたとのことで、視聴者の胸をすく痛快な展開はこうした入念な作り込みの賜物です。また、第5話の演出を担当したのは棚澤孝義ディレクター(チーフ演出は福澤克雄監督)で、迫力ある逆転劇をスピーディーかつ緊張感たっぷりに描き切りました。特に終盤の土下座シーンや隠し財産を暴く場面では、役者陣の熱演を引きでとらえた演出が功を奏し、視聴者に強烈な印象を残しました。
演出面では、銀行を舞台にした現代劇でありながら時代劇のような勧善懲悪のカタルシスを感じさせるスタイルが特徴です。実力派俳優陣の迫真の演技、ヒーロー対悪役の分かりやすい構図、チャンバラを彷彿とさせる痛快な対決シーンなど、まるで歌舞伎や時代劇を現代に置き換えたような脚本・演出が光ります。この大胆な演出は「上司にこんなこと言いたい!」というサラリーマンの鬱憤を晴らすものとして支持され、第5話放送時にはTwitterなどでも大きな盛り上がりを見せました。加えて音楽は服部隆之さんが担当し、重厚なオーケストラサウンドが半沢の逆襲劇を盛り上げています。脚本・演出・音楽の相乗効果で生まれた第5話の熱量は、まさにドラマ史に残る名シーンのオンパレードでした。
あらすじ
第5話(2013年8月11日放送)。5億円の融資事故を巡り追い詰められる半沢直樹(堺雅人)は、上司の浅野支店長(石丸幹二)から「一週間以内に逃亡中の西大阪スチール社長・東田満(宇梶剛士)を見つけ出せなければ子会社に出向だ」と最後通告を受けています。そんな中、東田の愛人・未樹(壇蜜)が突然国税局に寝返り、金融庁査察官の黒崎(片岡愛之助)に内通。東田が未樹に貢いで開店資金を出した高級クラブへの脱税捜査を見逃してもらう代わりに、東田逮捕に協力する取引を黒崎と交わします。翌日、東田の潜伏先に国税局のガサ入れ(強制調査)が入り、動揺した東田は自分が隠し持っていた通帳と印鑑を未樹に託し「裏口から逃げろ!」と命じました。未樹はそのまま逃走しますが、東田から指示された場所ではなく近くで待機していた黒崎のもとへ駆け込み、東田の隠し通帳一式をそっくりそのまま手渡してしまいます。この一部始終を物陰から見ていた竹下(金属加工会社社長・赤井英和)は「万事休すだ…」と半沢に連絡。黒崎に先を越され、東田の隠し資産も全て押収されてしまうとなれば、銀行として5億円回収は絶望的です。さらに同じ頃、半沢は支店の会議室で浅野支店長から「お前はもうすぐ出向が決まっているんだから、机の片付けでもしていろ!」と大声で恫喝され、事実上の左遷通告まで受けてしまいました。絶体絶命のピンチに、さすがの半沢も険しい表情です…。
しかし――実はこれら一連の出来事すべてが半沢の描いたシナリオ通りでした。未樹の「裏切り」は半沢が彼女に入れ知恵した芝居。目的は東田の隠し口座の証拠(通帳)を手に入れること。国税が動けば東田は未樹に通帳類を預けて逃がすはず…と半沢は読んでいたのです。未樹は黒崎に協力するフリをして東田の通帳を入手し、その通帳をバイク便で半沢のもとに送り届けました。半沢が受け取った通帳には隠し財産12億円の取引記録が克明に記されています。ニューヨークのハーバード銀行にあった東田の個人口座から未樹名義の関西シティ銀行口座へ5000万円が送金され、直後に浅野支店長の口座へ同額5000万円が振り込まれていたのです。これにより、東田の横領資金が浅野支店長にもキックバック(リベート)されていたという動かぬ不正の証拠が暴かれました。
半沢は早速動きます。まず東田への倍返し——竹下社長と共に未樹のクラブに乗り込み、居合わせた東田に「隠し口座の12億はすべて差し押さえさせてもらった」と宣告しました。ネットバンキングにアクセスした東田は自分の口座が凍結されている事実を知り激昂しますが、全てを裏で糸引いた犯人が未樹だと悟ると愕然。未樹は「アンタからもらったのはお金だけ」と東田に言い放ち、その場を立ち去りました。金に物を言わせてきた東田に最大の恥をかかせ、彼はその場に崩れ落ちて絶叫します。一方、国税の黒崎は「先に12億を銀行に持っていかれた!」と知り激しく悔しがるものの時すでに遅し。こうして東田は完全にゲームオーバーとなりました。
次なる標的は浅野支店長です。翌日、半沢が5億円の回収に成功したとの報告が支店にもたらされます。浅野支店長は半沢を支店長室に呼び出し「い、いったいどうやって5億を回収したのかね…?」と探りを入れますが、半沢は「ご想像にお任せします。それとも知る必要でも?」と意味深に微笑むだけ。言い訳のしようがない浅野は観念し、「す、すまなかった…あの西大阪スチールの件だ。どうか許してくれ」と項垂れて謝罪しました。しかし半沢は冷然と言い放ちます。「あなたを許すつもりはありません。私はあなたを刑事告発します」——。浅野支店長は青ざめ、「それだけは勘弁してくれ!」と必死に半沢にすがりつきました。そこへ偶然、浅野の妻・利恵(中島ひろ子)が菓子折りを持って支店長室に入ってきます。夫・浅野の異変に気づいた利恵は半沢に向かって頭を下げ、「どうかこの人をよろしくお願いします…」と涙ながらに懇願しました。実は以前、半沢は妻の花から「浅野支店長にも家庭があるんだよ」と諭されていたこともあり、浅野夫人の必死の姿に過去の自分の母親を重ねたのか、一瞬心が揺れます。半沢は室外へ出ようとしますが、足を止め、再び浅野に向き直りました。「…出向の件ですが——どこか東京本部の営業第二部・次長補佐に私を異動させろ。それができたら、今回は見逃してやる」と条件を突きつけます。さらに「うちの融資課メンバー全員も希望部署に異動させること」とも要求しました。土壇場で示されたまさかの交換条件に、浅野も「わ、わかった…」と頷くしかありません。そして去り際、半沢は静かに告げました。「最後に——あの約束を守ってもらおうか」。浅野が怪訝な顔をすると、半沢はニヤリと笑って言い放ちます。「5億回収したら土下座してもらう約束ですよ」。
次の瞬間、浅野支店長は「申し訳…ございませんでしたぁ!」と半沢に向かって土下座。支店長室の床に額をこすりつけ、号泣しながら謝罪する浅野に、半沢はじっと視線を落とすのでした…。こうして半沢は見事「10倍返し」を完遂し、大阪西支店での因縁に決着をつけます。後日、半沢は東京本部・営業第二部次長職への栄転が正式に決まり、浅野支店長は代わりに関連子会社(マニラ支店)への出向が発令されました。5億円を失う寸前だった竹下社長は無事融資金を取り戻し、会社再建に奔走。未樹も東田から解放され、自身の夢だったネイルサロン開業へと歩み出します。半沢は転勤前に竹下と固い握手を交わし、「正義はたまには勝つもんやな!」という竹下の言葉に笑顔で頷くのでした。物語は次なる舞台、東京本部での新たな戦いへ——。第5話は、痛快極まる逆転劇と人間ドラマを描き切り、こうして幕を閉じました。
感想
第5話は「大阪西支店編」のクライマックスに相応しく、終始ハラハラドキドキの展開でした。特に後半、半沢が満を持して大逆転に打って出るくだりは圧巻で、何度見ても爽快感が半端ではありません。未樹の“裏切り”からのどんでん返しには視聴者もまんまと騙され、「そう来たか!」と膝を打った人も多いでしょう。半沢のもとに通帳が届いた瞬間はまさに鳥肌もので、そこから怒涛の反撃劇が始まった時にはこちらまで胸が熱くなりました。
印象深いシーンが山盛りですが、中でも浅野支店長への土下座シーンは本作屈指の名場面でしょう。悪辣非道な上司だった浅野が「すみませんでした!」と号泣しながら頭を下げる姿には、思わず「ザマァ!」とスカッとした反面、彼にも家族がいると知っているだけに少し切なさも感じました。半沢が「家族がいるのはお前だけじゃないんだぞ!」と一喝する場面では、堺雅人さんの鬼気迫る怒号に鳥肌が立つ思いでした。堺さんの演技は終始キレが良く、第5話では笑顔ゼロで常に険しい表情だったのが印象的です。しかしラスト、浅野に土下座させ“10倍返し”を完遂した際に見せた微かな勝ち誇った表情には、視聴者も「やった!」とガッツポーズしたに違いありません。まさに平成の水戸黄門的な勧善懲悪のカタルシスでした。
また、半沢が花に自身の過去(父親の自殺)の真相を語る夜景のシーンも心に残りました。幼少期に味わった銀行への恨みと、「人を助ける銀行員になりたい」という信念が語られ、半沢という人物の芯が明かされます。このシーンのおかげで、単なる復讐劇に留まらないドラマの深みが増し、半沢をより一層応援したくなりました。上戸彩さん演じる花の包み込むような優しさと、「復讐だけじゃないんだね」と涙ぐむ姿にも胸を打たれます。
加えて、脇を固めるキャラクターたちの活躍も第5話の魅力でした。竹下社長が「正義はたまには勝つ!」と握手を求める場面では、こちらまで笑顔になる爽やかな余韻が残りました。未樹が東田に放った「アンタがくれたのはお金だけ」という決別の台詞も痛快で、壇蜜さんの毅然とした表情が印象的です。そして忘れてはならないのが黒崎検査官! 隠し財産を横取りされ悔し涙にくれる黒崎に対し、半沢が「おや?国税さん、そんな調子では困りますねぇ?」と勝利宣言するシーン(半沢の痛烈な皮肉に黒崎が「ぐぬぬ…」となる描写)がコミカルで思わずクスッとしてしまいました。片岡愛之助さんのオネエ芝居もキレッキレで、シリアスな中に笑いを差し込む名演でした。
総じて第5話は、絶望的なピンチからの大逆転というこれ以上ないカタルシスを味わえる神回でした。敵だった人物が次々に半沢に敗北し悔しそうな表情を浮かべる様は痛快で、それまで溜まりに溜まった視聴者の鬱憤が一気に晴れるような爽快感があります。半沢直樹という作品の真骨頂である「勧善懲悪の爽快ドラマ」としての魅力が最高潮に達したエピソードだったと思います。
考察・解説
「やられたらやり返す——倍返しだ!!」という半沢の信条が極限まで貫かれた第5話は、物語のテーマや伏線も非常に興味深いものがありました。まず注目すべきは、半沢の逆転劇を支えた仲間との絆です。表向き単独で悪と戦っているように見える半沢ですが、実際には同期の渡真利からの情報提供、竹下社長の協力、未樹の勇気ある裏切りといった周囲の助けがあってこそ勝利を掴んでいます。第5話では特に、序盤で半沢が部下たちに「必ず5億を回収する!二度と邪魔しないで頂きたい!」と宣言するシーンがあります。部下思いの半沢は、自分だけでなく支店融資課の部下たちの異動先まで確保する条件を浅野に突きつけました。こうした部下・同僚との信頼関係こそが半沢の強さの源であり、「仲間のためにも悪は許さない」という信念が一連の倍返しをより熱いものにしています。第5話サブタイトルにある「仲間の絆に胸が熱くなる」というのはまさにその通りで、銀行という冷徹な組織社会の中にも人情や友情が確かに息づいていることを描いている点に本作の魅力があります。
一方で、半沢個人の内面にも深い考察ポイントがありました。父の仇を討つために銀行員になった過去、そして「人を助ける銀行マンになりたい」という信念。このバックボーンが明かされたことで、単なる「上司への仕返し」ではない半沢の正義感が浮き彫りになりました。彼は自分を陥れた浅野すら完全には追い詰めず、最後は家族や部下のことも慮って条件付きで許しています。もちろん「土下座」という最大級の屈辱を与えることは忘れませんでしたが(笑)、半沢は単なる復讐鬼ではなく、冷静に相手の人生も見据えた上でギリギリの落とし所を探っているようにも見えます。浅野夫人の登場で「10倍返し」を断念した判断には、半沢の中にある人間味や葛藤もうかがえました。このあたり、勧善懲悪の痛快劇に留まらず、人間ドラマとしての深みを感じさせる巧みな脚本だと感心させられます。
さらに「倍返し」のエスカレートも面白い点です。半沢は作中で、相手によって「倍返し」の倍率(?)を変えています。西大阪スチールの東田社長には「倍返し」、浅野支店長には「10倍返し」、そしてこの先対峙する大和田常務には「100倍返し」だと劇中で宣言しています。回を追うごとにスケールアップする“〇〇倍返し”は物語を盛り上げる装置として痛快ですし、半沢の怒りの大きさを示すバロメーターにもなっています。第5話で浅野に「10倍返し」を叩きつけた時の迫力は凄まじく、視聴者も「次は100倍か…!」と期待せずにはいられませんでした。このヒーローのパワーアップ的な演出は原作小説には少ない要素ですが、ドラマ版ならではのエンタメ性として大成功だったと言えるでしょう。
そして何より、半沢が不正を暴いたことで明るみに出た銀行内部の腐敗も重要なテーマです。浅野支店長は社長の東田と結託し、自身の出世のために不正融資を行った挙げ句、その責任を部下に押し付けようとしました。この構図は現実の組織でも起こり得るもので、視聴者の怒りを買いましたが、半沢がそれを覆して上司を土下座させるという展開は組織の理不尽への爽快なカウンターでした。「権力者だからといって好き勝手やってはいけない」というメッセージを娯楽として痛快に描いた点で、第5話は社会派ドラマとしても痛烈です。また、大阪編を締めくくるこの回で描かれた銀行の不祥事(支店長の不正と隠蔽工作)は、後の東京編で描かれる更なる巨大な不正(大和田常務らの不正融資案件)への布石にもなっています。銀行という組織に巣食う膿を炙り出し、「正義とは何か」を問う物語の方向性が、この第5話で明確に示されたと感じました。
最後に、演出とキャストの化学反応についても少し考察を。第5話では主要キャストの熱量が最高潮に達し、特に石丸幹二さん演じる浅野支店長の追い詰められていく様子と、最後の土下座の芝居は鬼気迫るものでした。石丸さんはミュージカル出身ということもあり、感情を爆発させる演技に説得力があります。堺雅人さんの抑えた怒りとの対比で、あの土下座シーンは名場面として強烈に焼き付きました。また、歌舞伎役者である片岡愛之助さんや香川照之さんが出演していることもあって、全体に歌舞伎的な“大仰さ”とケレン味が漂うのも本作の特徴です。第5話のクライマックスは、まさに舞台芝居さながらの熱演合戦であり、それがテレビの前の我々に直接訴えかけてくる迫力となっていました。これほど振り切った演出と演技でありながら大衆受けし、老若男女がテレビに釘付けになったというのは、製作陣とキャストの力量の賜物でしょう。
総じて第5話は、半沢直樹という作品のテーマ「正義の下克上」と「仲間との信頼」が凝縮された回でした。逆境でも諦めず知恵と絆で道を切り開く半沢の姿は、日本中に勇気と爽快感を与えてくれました。神回と称されるのも頷ける濃密な一時間であり、物語はここから新たなステージへと突入していきます。
視聴者の反応
ポジティブな反応(好評) 🟢
- 「半沢の大逆転劇、スカッとしすぎて震えた!最後に正義が勝つ展開最高!」
- 「浅野支店長ザマァw 土下座シーンで思わず拍手した😂」
- 「未樹さんいい仕事した!仲間の裏切りじゃなくて安心したし感動した~」
- 「黒崎の悔しがり方笑った。憎いけど可愛いキャラでクセになる🤣」
- 「半沢と花の夫婦の絆に泣いた…お父さんの仇の話は胸熱すぎる」
ネガティブな反応(賛否両論・批判) 🔴
- 「勧善懲悪すぎてちょっと現実味ないかな…。でもまあ面白いけど!」
- 「上司にあんな土下座させるなんてあり得ないでしょ(笑)リアリティより爽快感重視ね」
- 「展開が予想通りすぎたかも。もう少しひねりが欲しかったかな~」
- 「演技がみんな大げさすぎてコントみたいに見えちゃった部分も🤣」
- 「銀行員があんな派手にやり合うなんて非現実的。でもそこがこのドラマの良さかw」
視聴者の声を見ても、第5話は「痛快で神回!」という絶賛が多数を占めていました。特に浅野支店長への土下座シーンや、半沢の怒涛の逆転劇に「胸がスカッとした」「何度も見返したい」という声が続出。一方で一部には「やりすぎでは?」という指摘もあり、演出の大仰さや物語のご都合主義を笑う声も見られました。それでも総じて爽快感>リアリティで楽しんでいる視聴者が多く、第5話はSNS上でも大いに盛り上がりを見せました。「半沢直樹」トレンド入りはもちろん、放送後には関連ワードが次々トップに上がり、本作の社会現象ぶりを改めて印象付ける結果となりました。
次回への期待
怒涛の展開で大阪編を締めくくった第5話。次回からはいよいよ東京本部編(第6話以降)がスタートします。異例の大栄転で本部・営業第二部次長となった半沢を待ち受けるのは、ラスボス・大和田常務(香川照之)を筆頭とする巨大権力との戦いです。第6話では早速「5億から120億へ!東京で、倍返しなるか?」との煽り文句が登場し、スケールアップした争点(帝国航空への不良債権120億円の問題)が描かれます。東京中央銀行という本丸で、半沢がどんな方法で不正を暴き、どんな“倍返し”を見せてくれるのか今から楽しみですね。
また、東京編から登場する新キャラクターにも注目です。半沢の大学時代の親友である近藤直弼(滝藤賢一)が鍵を握る存在として加わり、彼の抱える苦悩や再起も物語を深めていきます。香川照之さん演じる大和田常務との直接対決も視聴者の大きな注目ポイントでしょう。第5話のラストでちらりと映った大和田は、不敵な笑みを浮かべて浅野に指示を出していました。腹に一物も二物も抱えた曲者だけに、半沢との心理戦・頭脳戦は大阪編以上に熾烈なものとなりそうです。香川さんと堺雅人さんの演技バトルは間違いなく見応えがありますし、「100倍返し」の行方にも期待せずにはいられません。
さらに、金融庁の黒崎も東京編で再登場します。半沢vs黒崎の因縁の対決第2ラウンドがどのように展開するのかも見ものです。第5話では半沢に出し抜かれ悔しい思いをした黒崎ですが、このまま黙っているはずがありません。また、新ヒロイン的存在として、東京編では国土交通大臣・白井亜希子(江口のりこ)など政界の人物も絡んできます。物語のフィールドが銀行内から政官財を巻き込んだ大舞台に広がり、スケールアップするのは確実です。
次回第6話以降、半沢直樹の戦いはさらに苛烈さを増していきます。“平成最後の勧善懲悪ヒーロー”半沢直樹が、巨大な悪にどう立ち向かうのか?そして因縁の大和田常務に「100倍返し」を叩き込むことができるのか?期待と興奮を胸に、次回の放送を待ちましょう!
配信情報・視聴方法
ドラマ『半沢直樹』(2013年版)は現在、動画配信サービス「U-NEXT」で全話視聴可能です(旧ParaviのTBS系見放題作品として配信)。初回登録なら31日間の無料トライアル期間を利用して、第5話を含む全10話を一気見することもできます。また、レンタル配信ではAmazonプライム・ビデオやTSUTAYA TVなどでも個別課金で視聴可能な場合があります。放送当時を懐かしみながら、好きなタイミングで何度でも“倍返し”シーンを楽しめるのは配信サービスの嬉しいところですね。
地上波での再放送は不定期ですが、続編や特別総集編の放送タイミングに合わせて再放送されることがあります。直近では2020年のシーズン2放送前に特別総集編が放送され、大きな反響を呼びました。リアルタイムで見逃した方や、もう一度熱くなりたい方は、ぜひ配信や再放送情報をチェックしてみてください。
さらにDVD/Blu-rayも発売されています。2013年版『半沢直樹』のディレクターズカット版を収録したBlu-ray BOXが同年12月に発売されており、未公開シーンやメイキング映像などファン必見の特典も満載です。映像ソフトで高画質・高音質の半沢ワールドを堪能するのもおすすめです。レンタルDVDも各種レンタルショップや宅配レンタルサービスで取り扱いがありますので、自分に合った視聴方法で第5話の感動を味わってください。
関連グッズ紹介
ドラマの大ヒットに伴い、『半沢直樹』関連のグッズや商品も数多く展開されました。まず原作小説は池井戸潤さんの『半沢直樹シリーズ』。「オレたちバブル入行組」「オレたち花のバブル組」の2作品が2013年版ドラマのベースとなっており、ドラマを機に原作小説を手に取った方も多かったようです。文庫版も発売されているので、ドラマとの違いを楽しみながら読んでみるのも良いでしょう。
映像商品では前述のBlu-ray/DVD-BOXがありますが、初回限定版にはユニークなグッズが付属しました。たとえば東京中央銀行のオリジナル通帳型メモ帳や、半沢の形見である「ねじ」(螺子)を模した樹脂製ストラップ、おなじみの「倍返し饅頭」のパッケージを模したマグカップなどが特典として封入されています。劇中で半沢が大事に持ち歩いていたあの小さなネジを再現したグッズが付くというのはファン心をくすぐりますよね。
他にも、TBSの公式オンラインショップでは「倍返しだ!」と大きくプリントされた湯飲みやマグカップ、Tシャツ、さらには劇中で東京03(とある居酒屋で半沢と同期が飲んでいたビールジョッキ)をモデルにしたグラスなど、多彩な公式グッズが販売されました。当時はサラリーマンへの応援メッセージとして「倍返し饅頭」なる和菓子まで発売され話題に。2013年8月には「倍返し饅頭」が全国発売され、パッケージには半沢の決め台詞がドーンとあしらわれていました。お土産や差し入れに買い求める人も続出し、瞬く間に完売する店舗もあったとか。
劇伴音楽のオリジナル・サウンドトラックCDも発売されており、服部隆之さんが手掛けた重厚なメインテーマや緊迫感あふれる劇中曲をフルサイズで楽しむことができます。あの「テーマ・オブ・半沢直樹」を聞くだけで例のシーンが蘇ってくる…!と購入したファンも多かったようです。
そのほか関連書籍では、ドラマ放送当時に発売された公式ガイドブックや、週刊誌の特集記事をまとめたムック本なども人気を博しました。「半沢直樹の真実」的な裏話本から、主演・堺雅人さんのインタビュー掲載誌まで書店に平積みされ、改めて社会現象ぶりがうかがえました。
『半沢直樹』はドラマそのものだけでなく関連商品でも大いに盛り上がった作品です。ファンの方はぜひこういったグッズもチェックしてみてください。当時を懐かしみながら倍返し饅頭を頬張れば、あの名シーンの興奮がよみがえること間違いなしです!
まとめ
『半沢直樹』第5話は、絶体絶命の窮地から痛快に大逆転してみせた神回中の神回でした。逆転の一手の鮮やかさ、仲間との固い絆、そして胸のすくような「10倍返し」のカタルシス…どれを取っても一級品のエンターテインメントです。筆者個人の評価としても文句なしの★★★★★(5/5)!視聴後には思わず拍手喝采したくなる満足度でした。
物語はこの先、舞台を東京に移しさらにスケールアップしていきます。半沢の戦いはまだまだ続きますので、未見の方はぜひこの機会に第5話まで追いついて、一緒に“倍返し”の快感を味わい尽くしましょう。既にご覧になった方も、もう一度第5話を見返せば新たな発見があるかもしれません。
「やられたらやり返す、倍返しだ!!」——さあ、あなたもこの熱い名言を胸に刻みつつ、次回の展開を楽しみに待ちましょう。もしこの記事が面白かったら、ぜひSNSでシェアしてドラマ『半沢直樹』の魅力を語り合ってください!平成の伝説的ドラマを、みんなでさらに盛り上げていきましょう🔥💥🎉。倍返しだ!ありがとうございました。